令和元年度利根町一般会計歳入歳出決算に反対
令和2年9月議会では令和元年度利根町一般会計歳入歳出の決算特別委員会が開かれ、私は一般会計決算に反対しました。決算委員会、そして本会議で行った反対討論を掲載しましたので、長文ですが読んでいただけたら幸いです。
議案第58号利根町一般会計歳入歳出決算について、反対討論を行います。
第5次総合振興計画策定事業はH30年度に630万600円を費やし、
令和元年度には203万400円を費やしています。
第5次総合振興計画策定事業は利根町が力を入れている事業であることがわかります。
基本方針1の「安全で人にやさしい快適なまちづくり」では公共交通の利便性の向上を掲げています。
しかし、車を運転できない方や子どもたちが自由に町内を行き来できるようになるための事業に予算を十分当てられたかと言うと、そうではありません。
評価としては現状維持と言わざるを得ません。
平成30年1月に取られた第5次総合計振興画の町民アンケートで、
16歳から39歳までの方達が「利根町にあまり長く暮らせない」「もしくは近いうちに転出することを考えている」と一番多くお答えていました。
利根町の人口流出を止めるには、交通の利便性向上は欠かせません。
福ちゃん号、ふれ愛タクシーへの予算は十分ではありません。
そして、防災施設費。
成果説明書には生活救援物資等を計画的に購入することで災害に備えることができた、とあります。
しかし、昨今、日本全国で想定外の災害が頻繁に起きています。
どの規模の災害がいつ起きるか、誰にもわかりません。
だからこそ、未曾有の災害が起きても生活できるだけの物資は確保しなければいけないと考えます。
アルファ米炊き出しセット40箱(2,600食)、500mlペットボトル飲料水960本では不十分です。
アルファ米2,600食とペットボトル960本はあくまで令和元年度に購入した数なので、
実際にはもっと備蓄されているかと思います。
しかし、利根町の人口は約16,000人です。一体、何人が何日分、過ごすことができるのでしょうか。
政府やボランティアの方達から支援物資が届くまで、安心して過ごせるだけの備蓄品が必要です。
避難指示が出た際、ご高齢の方にも飲食物は持参するよう言われます。
文化センターでは、飲み物は自動販売機で買うことができます、と言われました。
避難とは、そういうものではありません。
避難所では公助が全てです。必死になって避難し、やっとのおもいで避難して来た人たちを
「もてなす」ためにも、物資の購入にはもっと予算を割いていただきたいです。
シティプロモーション事業は関係人口・交流人口という机上の空論のような人たちに利根町の認知度・魅力度の向上を図る事業ですが、この関係人口・交流人口がそのまま移住・定住に繋がるという明確な根拠が利根町にはありません。
お米が美味しい、空気が綺麗、自然が多い、地域資源・観光資源を気に入った人たちが利根町に足を運び、やがて利根町に移り住んでくれる。というのは、都合の良い解釈です。
皆さんも旅行で観光地を巡り、とても良いところだなと漠然と魅力を感じた土地があったはずです。
では、そこに実際に移り住んだのでしょうか?移住していないからこそ、ここにいるはずです。旅行、観光はあくまで娯楽です。移住には繋がりません。関係人口・交流人口を移住に繋げられるのは一部の地域です。
利根町が関係人口、交流人口を増やしても移住・定住に繋がるとは考えにくいです。
何故ならば、不便だからです。
先ほども申し上げましたが、利根町に長年暮らしている若者たちが出て行ってしまう理由に、公共交通の利便性向上は欠かせません。
もし、利根町に興味があって利根町を訪れたとしても、移動手段がなければ困るはずです。
利根町には過去、実際に関係人口・交流人口と呼ばれる人たちがいました。数年にわたって利根町に関わった郁分館高校の学生と先生たちです。
郁文館高校の学生と先生は利根町に移り住んでくれたでしょうか?
また、利根町の魅力を十分に伝えられたのでしょうか?
私は学生と先生に、「利根町に引っ越したいですか?利根町に暮らしたいと思いますか?」と質問しました。
すると、彼らの回答は、利根町はバスが少なくて不便。今日は布佐駅から1時間も歩いた。生活しにくい。やっぱり、東京が良い。というものでした。
郁分館高校の学生、そして先生はまさに関係人口・交流人口でした。
この答えが全てを物語っています。
町の魅力を外に伝える、利根町をPRするのは大事なことです。
しかし、予算の掛け方がおかしいです。
一時期観光客が減ってしまった熱海市は、ある政策で観光客を増やしてV字回復したことで、観光賞を獲得しました。
観光客を増やした熱海市長は、宣伝にはお金をかけなかったと言います。
熱海市長はお金をかけずに宣伝し、観光客を増やすことに成功しました。
メディアプロモーションです。
今はインターネットが発達しているから、お金をかけないで宣伝することができたと。
地方自治法には、地方公共団体は最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。とあります。
利根町も熱海市を見習って、お金をかけないシティプロモーションに力を入れてはどうでしょうか。
続いて、健康増進施設調査事業。383万4317円かけています。
20歳から75歳までの町民1,500人を「むさくい」に抽出した郵送アンケート。
千葉県の400人、龍ヶ崎・河内・稲敷・阿見・美穂村の200人、
あわせて600人を対象としたwebアンケート。
そして、「いわきゆったり館」への視察に約383万円を費やした事業です。
昨年、日本共産党利根町支部が実施した全戸を対象とした住民アンケートは、返信とあわせて10万円かかりませんでした。
1,500人ではなく、全戸に配布しました。
また、googleを活用したwebアンケートも無料で実施することができました。
アンケートはやり方によっては予算をかけずに行うことができます。視察に行ったとしても、予算をかけ過ぎと言わざるを得ません。
地域おこし協力隊事業は効果がありませんでした。
地域おこし協力隊は町の宣伝、PRを頑張ってくれたじゃないか、十分効果があった!
と言う方もいらっしゃるかと思います。
しかし、それは与えられた仕事であって、地域おこし協力隊の本質ではありません。
あくまで地域おこし協力隊という事業は、定住推進事業です。
地域おこし協力隊、本人に定住してもらうことが目的の事業で、地域おこし協力隊のゴールは定住です。
定住してもらうことが目的であり、その手段として日々の任務があります。
利根町で魅力発信のために尽力されていた女性隊員一名が利根町を離れました。
利根町は良いところですよ、と利根町をPRしていた本人が定住を望まなかった、定住を望めなかったという事実を受け止めなければいけません。
利根町の大きな問題は人口減少、少子高齢化、公共交通の利便性向上が挙げられます。
だからこそ、小さい金額でも無駄遣いをなくし、効果が薄い事業は廃止して、
より住民福祉を充実させられる事業へ転換していくことが求められます。
そこで最後に一つ気になったことを挙げさせていただきます。
ほんの些細なことではありますが、21万900円で一眼レフカメラを購入したことです。
利根町には地域おこし協力隊が購入したオリンパスのミラーレスカメラがあり、
画素数は1,605万画素で、望遠ズームレンズもあります。
プロも使用する、行政が使うには十分な仕様となっているカメラです。
私は決算特別委員会の質疑の中で、「カメラが足りなくなったから購入したのか?」
と聞いたところ回答は緊急性を要するものではありませんでした。
より良い写真、綺麗な写真を撮りたいというものです。
何かを提案すると答弁でよく聞かれる「財源がない」という言葉。
財源がないと言いながら21万円もするカメラを購入しています。
今はスマートフォンでもカメラの質は良く、プロの写真家でさえ、
スマートフォンで撮影する時代です。
財源がないと言われる利根町において、21万円のカメラは必要なのでしょうか。
行政はイベント会社でも広告会社でもありません。
職員が撮影した写真一枚で住民の生活が豊かになることはありません。
広報TONEは写真集ではありません。利根町の事業内容など情報をお伝えする広報誌です。
HPも同様で、あくまで助成内容や事業、公共施設の情報などを伝えることがメインです。
画質が綺麗な写真がメインにはなりません。
たった21万円、されど21万円です。
本当に細かいことです。たったカメラ一つで何を騒ぎ立てるのか、と思われることでしょう。
しかし、塵も積もれば山となるです。
このような小さい予算の使い方一つ一つを見直していくことで、
より良い事業に充てる予算を確保することができるのだと思います。
全体を見れば、多くの事業は適切に執行されており、
不用額についてもコロナ禍の影響によるものでした。
しかし、財源がないと言われる利根町だからこそ、小さいところから見直していただきたく、反対とさせていただきました。
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